ワイの毎日

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山本文緒「自転しながら公転する」の感想 の話

山本文緒さんの7年ぶりの長編、「自転しながら公転する」の感想です。

 

※ネタバレがあるのでまだ読んでいないという方はやめましょう。

他人の感想を聞きたいという稀有な方はそのままお進みください。

あくまでも一個人の感想です。

 

7年ぶりの山本さんの長編をたまたま地元の本屋で見つけたので購入した。

見つけた本屋と別の本屋で買ったが。

何故かというとその本屋は対応がゲフンゲフンなのでお金を落としたくないのだ。

ちなみにその本屋で3年は買い物してない。立地がいいから潰れないと思う。

客はめっちゃ少ないけど。

 

主人公は32歳。

地方のアウトレットでアパレルとして働く一人っ子である。

この主人公が私とほぼ同世代で、地元が一緒なので知っている地名や文化がわっさわっさ出てくるのである。

記憶が正しければ山本さんの旦那様は私と地元が近かった気がするのだがそれにしてもかなり念入りに取材しているように思える。

ここまで細かく練ってる作品があったっけ?と思った。

他にもあったかもしれないが架空の人物でここまで練りこんでいるのは珍しい。

その結果がこのページ数なのかもしれないが。

 

この人の作品の裏テーマが家族だろうなあとは前々から思っていたが今回は直球で突っ込んできた。オビにも書いてあるし。

この作品に限らず山本さんの主人公は結構(かなり?)フラフラしてるし頻繁に迷う。

主人公とは逆に周囲の人は(意図して書かないのかもしれないが)迷いもなくさっさと決めてとっとと行動する。

今回の作品は特にそれが出ていたし逆に主人公が自分のウダウダ加減に逆ギレしたり逆ギレされたりしていた。

周囲の人が自分だって迷ってるんだよというシーンもあるという読者の声が反映されているところがよかった。この辺は過去の作品からの進化かもしれない。

 

長い作品だったけど読みやすく、久々に集中できてよかった。

「なぎさ」は正直読んでいて「まだ続くのか…」と思うほど展開が遅く感じたので残りページが少なくなってくるとハラハラしてくるこの作品は良かった。

また長編出してほしいなあと思う。